令和5年版の東京都建設業許可の手引き改正について

令和5年10月18日に令和5年度版東京都建設業許可の手引きが発行されました。この手引きでの変更点で主なものは以下の4つになります。

【今回の改正内容】
・特定建設業の許可を要する下請代金額の下限の見直し
・専任技術者の要件緩和に伴い「技術者の資格表」を改訂
・登録基幹技能者の追加
・原本提示の廃止

以下でそれぞれの内容について記載します。

令和5年版の東京都建設業許可の手引き、主な変更点

法改正による下請契約金額の制限の変更

建設業の許可は、一般建設業と特定建設業とに区分されています。この区分は下請け金額の大きさによってなされています。下請代金額がとくに大きくなる場合、下請業者を保護する必要が大きくなり、社会経済的な観点から建設工事の適正な施工を確保する必要性も高くなるからです。そのため、自社で全てを請け負う場合は、特定建設業の許可は不要です。建設業法施行令の一部改正により、令和5年1月1日から特定建設業許可が必要となる下請金額が4,500万円以上(建築一式工事の場合には7,000万円以上)に変更になりました。今回の手引きのの変更はこの改正を受けてのものになります。新旧の比較を表にすると次のようになります。

改正前の下請け金額の制限

元 請
※ 工事の全部又は一部を下請に出す場合の下請契約金額の制限(消費税込)
特定建設業一般建設業
①4,000 万円以上
(建築一式工事は 6,000 万円以上)
(複数の下請業者に出す場合は、その合計額)
①4,000 万円未満
(建築一式工事は 6,000 万円未満)
②工事の全てを自分(自社)で施工

改正後の下請け金額の制限

元 請
※ 工事の全部又は一部を下請に出す場合の下請契約金額の制限(消費税込)
特定建設業一般建設業
4,500 万円以上
(建築一式工事は 7,000 万円以上
(複数の下請業者に出す場合は、その合計額)
4,500 万円未満
(建築一式工事は 7,000 万円未満
②工事の全てを自分(自社)で施工

専任技術者の要件緩和に伴い「技術者の資格表」を改訂

東京都都市整備局Webサイトより

建設業許可を取得する際、各営業所に専任技術者を置くことが求められます。この専任技術者になるためには、基本的に許可を受けようとする建設業の種類で定められた国家資格を持っていることが必要になります。

このような国家資格を有していない場合、代わりに実務経験の期間が求められ、大学や高校などの指定学科を卒業している場合にはこの求められる期間が短縮されます。

2023年7月1日より、この実務経験期間を短縮する条件が追加されました。その中に技術検定合格者を指定学科卒業者と同等に扱うというものがあります。これにより業種別有資格者区分のコードが追加され、「技術者の資格表」が改訂されました。

具体的には以下のようなものになります。

【今回追加された資格区分及びコード番号】
・ 一級土木施工管理技士補················· 1H
・ 二級土木施工管理技士補(土木)········· 1J
・ 二級土木施工管理技士補(鋼構造物塗装)· 1K
・ 二級土木施工管理技士補(薬剤注入)····· 1L
・ 二級建設施工管理技士補················· 2D
・ 一級電気工事施工管理技士補············· 2E
・ 二級電気工事施工管理技士補············· 2F
・ 一級管工事施工管理技士補··············· 2G
・ 二級管工事施工管理技士補··············· 3A
・ 一級造園施工管理技士補················· 3D
・ 二級造園施工管理技士補················· 3E

専任技術者の要件緩和については以下のリンク先のページにも記載しています。宜しければご覧ください。

登録基幹技能者の追加

東京都都市整備局Webサイトより

平成30年4月1日より、告示されている実登録基幹技能者講習の修了者(登録基幹技能者)も主任技術者要件を満たす者として認められることとなりました。この講習を受講するためには、務経験10年以上でうち職長経験が3年以上であること、それに加えて専門工事ごとに求められる一定の資格等が必要になります。

令和4年 12 月 16 日よりこの講習に登録送電線工事基幹技能者講習と登録さく井基幹技能者講習の2つが追加されました。

登録送電線工事基幹技能者講習…とび・土木工事業・電気工事業の主任技術者資格を有することになるため、専任技術者になることが可能に
登録さく井基幹技能者講習…さく井工事業の主任技術者資格を有することになるため、専任技術者になることが可能に

また、講習の修了者は登録基幹技能者として認められ、経営事項審査においても評価の対象となりました。これに伴い、基幹技能者の資格区分及びコード番号の表に追加がされました。

原本提示の廃止

これまでの窓口審査では、常勤役員等(旧経管)や専任技術者の常勤性を確認できる資料や資格認定証の原本の提示が必要でした。これらの書類についての原本提示を不要とし、写しの提出のみに変更されました。具体的に以下の2つの書類についてになります。

【窓口での原本提示が不要となるもの】※代わりに写しの提出が必要になる
・ 常勤役員等(経管)、直接補佐者、専任技術者及び令3条の使用人についての常勤性の確認資料
・ 常勤役員等(経管)及び専任技術者の経営経験、技術者要件を証明する書類
(例)
 個人事業者の方の場合の直近決算の確定申告書の写し
 法人で健康保険証に事業所名が印字されていない場合に提示が求められていた各種資料
 技術者要件を証明する資格認定証

なお、もともと原本提出が必要な資料(登記事項証明書、残高証明書、卒業証明書など)についてはこれまでと同様に原本提出が必要になります。

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