営業所ごとに専任の技術者として認められる従業員の方が勤務している必要があります

 専任技術者も経営業務の管理責任者同様に各営業所に常勤する必要があります。このため他の営業所の専任技術者を兼任することはできません。

建設業の工事の施工には施工する工事に関する専門的な知識や経験が必要不可欠です。請負契約の適正な締結、履行を確保するためにはこのような知識や経験を有する従業員、すなわち専任技術者が常に会社に在籍していることが望まれます。

そのため、建設業許可を取得するためには、主たる営業所や従たる営業所のすべての営業所において、その営業所で営む許可業種に対応する常勤の専任技術者を選任する必要があります。

このような専任技術者として認められるためにはその方が施工する工事に関する専門的な知識や経験等を有する事について客観的な証明をすることが求められます。

このページではどのようなことを証明をすれば専任技術者として認められるかについて記載していきます。

なお、一般建設業と特定建設業とでは、この専任技術者の要件は異なります。例えば、指定建設業(土木一式、建築一式、電気工事、管工事、鋼構造物工事、舗装工事、造園工事)の業種については、1級の国家資格者・技術士の資格者又は大臣認定者でなければ、特定建設業許可の専任技術者となることはできず、実務経験のみにより技術者要件を証明した専任技術者では、特定建設業の許可を受けることはできません。以下では通常当事務所でご相談を受ける一般建設業の場合について記載していきます。

【一般建設業の場合】
次のいずれかの条件に当てはまる方が一般建設業の場合に専任技術者になることができます。

(a)許可申請する業種に対応した国家資格などを取得していること

「東京都建設業許可の手引き」などに記載されている、許可申請しようとしている業種に対応した国家資格などを取得していることが必要になります。この表にない資格では建設業許可の手続き上は使用できません。条件を満たしていることを証明する方法が非常に簡単であるため、この方法で専任技術者となるのが理想です。

しかし、このような許可申請する業種に対応した国家資格などを取得している方がいない場合、次の(b)以下に該当する方が自社にいるかを確認することになります。

(b)学歴、資格を問わず許可を受けようとする建設業で10年以上の実務経験を有している

国家資格がない場合であっても、原則として10年以上の実務経験があればその業種の専任技術者になることができます。10年以上の現場での実務経験があれば一定以上の技術があると認めることができるからです。

ここで言う実務経験とは、原則として許可を受けようとする建設工事(業種)に関する技術上の様々な職務経験をいいます。具体的には、建設工事の施工を指揮、監督した経験や、実際に建設工事の施工に携わった経験などがあげられます。現場監督技術者として監督に従事した経験も含みますが、工事現場の単なる雑務や事務の仕事に関する経験は含まれません。附帯工事(請負契約の中で主目的となる業種の工事に含まれる別業種の工事)の経験についても同様に実務経験の証明に使うことはできません。

また、電気工事又は消防施設工事における無資格者の実務経験は、電気工事士法及び消防法の規定により原則として実務経験として認められません。電気工事又は消防施設工事における実務経験が認められるためには「第一種電気工事士」か「第二種電気工事士(免許交付後実務経験3年以上)」「電気主任技術者(免許交付後実務経験5年以上)」を所持したうえで電気工事業登録をしている会社で実務経験を積むことが必要になります。

現実問題として、10年の実務経験の証明は非常に困難です。そのため証明する期間を10年より短縮するために、次の(C)もしくは(d)の条件に当てはまる者が自社いるかどうかを考えます。専任技術者の学歴が指定学科卒業という条件に当てはまれば、必要な実務経験の期間が大きく緩和されるためです。学科ごとに、指定学科を認定できる業種が異なるので注意が必要になります。なお、指定学科に通っていた期間と実務経験の期間は重複不可です。

(c)学校教育法における大学(短期大学、高等専門学校、2年制専門学校を含む)で指定学科を卒業後、3年以上の実務経験を有する者

(d)学校教育法による中学や高校で指定された学科を卒業後、5年以上の実務経験を有する者

実務経験が10年に満たない場合でも、大学で指定学科を卒業後に3年以上中学や高校で指定学科を卒業後に5年以上の実務経験の実務経験があれば、専任技術者になることができるからです。証明する必要のある実務経験の年数が大幅に短縮されるため、許可申請する業種に対応した国家資格などを取得している方がいない場合にはこの条件に当てはまる者がいるかどうかを調べます。このような指定学科は業種ごとに分かれており、国土交通省のHPで確認できますが、学部・学科名が学校によりそれぞれ違う場合があるので、事前に申請する担当窓口に確認された方が間違いありません。卒業証明書などを提出することで証明します。

国土交通省”許可を受けようとする建設業の指定学科一覧”へのリンク
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000085.html

なお、特定建設業の許可を受ける場合、単なる実務経験では足りず、「指導監督的な実務経験」が必要になります。「指導監督的な実務経験」とは、建設工事の設計又は施工の全般について、元請として工事現場の主任や、工事の現場監督のような立場で工事の技術面を総合的に指導・監督した経験を指します。この「指導監督的な実務経験」を積んだ”工事”は、発注者から直接工事を請負う工事に限られ、請負金額が4,500万円以上(消費税込)であることが必要などの複雑な条件があります。

また、指定建設業(土木一式、建築一式、電気工事、管工事、鋼構造物工事、舗装工事、造園工事)の業種については、施工技術の総合性等が考慮されるため、指導監督的な実務経験のみにより技術者要件を証明する専任技術者では特定建設業の許可は受けられません。

そして、専任技術者はその営業所ごとに「専任」していなくてはなりません。この「専任」とは、その営業所に常勤して主にその職務に従事することを言います。このため、同一法人であっても、自分の勤務する営業所以外の他の営業所で専任技術者を兼ねることはできません。同様に、他で個人事業を営んでいる方、他の営業所や会社で常勤役員又は専任技術者のような常勤性が必要な立場で仕事をしている方も専任技術者になることはできません。常勤役員等や常勤役員等を直接に補佐する方、また令3条の使用人(支店長など)、他の法令により専任性が要求される建築士、宅地建物取引士についても同様に原則として専任技術者になることはできませんが、同一法人で同一の営業所である場合には例外的に常勤性が認められ、専任技術者と兼任することができます。

また、同一の法人内の同一営業所で複数の業種の建設業許可を申請する場合、この複数の業種で技術についての資格要件を1人で満たすことができでるようなら、その1人が複数の業種で専任技術者を兼ねることができます。複数の業種の専任技術者になろうとする場合、実務経験の期間は重複することができません。業種ごとに原則10年以上の経験が必要で、2業種を申請する場合は20年以上が必要になります。

なお、この場合とは逆に、同一業種について複数の専任技術者を置くことはできません。

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事務所案内-Our Office-

神山行政書士事務所
代表 神山隆義



 

【略歴】

  1978年、栃木県生まれ
  中央大学法学部法律学科卒
  座右の銘:”信”は力なり

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  日商簿記           など

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