経営事項審査を申請する前提として必要なこと

経営事項審査を受ける業種について、建設業の許可を取得し、審査対象となる事業年度にかかる決算変更手続きをしている必要があります。

以下、建設業許可の取得と決算変更届それぞれについてみていきます。

建設業の許可の取得と決算変更届

(1)建設業の許可の取得

経営事項審査は、建設業許可を取得している建設業者が国や地方自治体が発注する公共工事を直接請け負う場合に必要となる事前審査です。経営事項審査を受けるには、建設業許可を取得していることが前提になります。そのため、申請時に建設業の許可を有していても、経営事項審査結果通知書の交付時点で廃業などにより許可がない場合は経営事項結果通知書は交付されません。

公共工事は巨額の税金を投じて行われます。そのため、国としても公共工事を行う建設業者の選定には慎重になる必要があります。しかし、震災の際の復興工事などはどの建設業者に工事を行ってもらうのが良いかを迷っていると復興までに時間がかかり、その分の事務的なコストもかかってきます。そこで、公共工事を依頼する建設業者はあらかじめ、ある程度前もって絞られている必要性が出てきます。結果として経営事項審査には建設業許可を得ていることが求められました。建設業許可を得ているという事は、一定の技術力や財政的基盤があるという事を許可の際に審査されているためです。このような理由から、経営事項審査ではその前提として建設業許可が求められるわけです。

(2)決算変更届

経営事項審査は決算期時点で申請業者がどれだけの評価に値するかを決める手続きです。この評価をするには現在会社がどのような経営状態なのか、最新の内容で判断する必要があります。そのため、経営事項審査を請求する前提として審査対象となる事業年度にかかる決算変更手続きが必要になります。

建設業許可を受けた建設業者は、毎年、税理士の方から受け取る決算報告書をもとに、決算後4か月以内に経営状況を許可行政庁に報告するための「決算変更届」を作成し、提出します。地域によってはこの決算変更届を事業年度終了届と呼びます。この決算変更届は税理士の方が作成している決算報告書とは別物です。税理士の方が作成した決算変更届を建設業用の財務諸表に置き換える作業が必要になります。

決算報告書そのものではなく、別に財務諸表を作成するのは財務会計における建設業という業界特有の事情のためです。建設業では工事の完成という役務を提供するため、工事着手前に人の手配や材料の購入をしなければならず、報酬の入金は場合によっては年単位が経過した工事の完成後になり、他業種と比較して入金と出金の時期に非常に開きがあります。そのため、建設業者の方の売り上げは一般的に完成工事高が用いられます。結果、通常と同じ帳簿の作成の仕方だと、建設業専業の方よりも建設業以外を兼業している方が業績が良いような形になってしまう事があります。そこで、決算書を建設業種に限定して統一化したルールで作成することを義務付けることで建設業界全体に公平な制度を設けたわけです。

経営事項審査を受ける場合、決算変更届で提出する書類は税抜きで作成するのが基本になります。これは単純な理由で、経営事項審査の提出する財務諸表が税抜きで記載することを要求されるからです。一旦税込みで作成された決算報告書をわざわざ税抜きに起算しなおすのは恐ろしく手間がかかります。したがって、経営事項審査を受けることをお考えの建設業者の方は審査を希望する前の年度からこういった準備を始めた方が良いでしょう。

東京都の場合、そもそもこの決算変更届の提出が終了していないと経営事項審査の予約を受け付けてもらえません。

決算日から1年7ヶ月間が、経営事項審査の有効期限になります。そのため、毎年経営事項審査を受審し、自社のP点を最新の状態で維持しておく必要があります。決算変更届の添付資料となる財務諸表は、経営事項審査の前提となる経営状況分析申請の際にも必要になります。ご注意ください。

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