公共工事が受注できるまでの大まかな流れはどのようになっているのか

経営事項審査(経審)とは、公共工事の元請けを希望する建設業者を対象に行われる競争入札への参加の前提となる審査です。「建設業許可」を取得し「決算変更届」をしていること、さらに事前に「登録経営状況分析機関」に申請し、経営状況分析結果通知書の受領していることが必要になります。

入札への参加は、次の(1)~(6)の流れに沿って行われます。

No.経営事項審査の進み方
(1)大前提として建設業の許可の取得決算変更届をする
(2)経営状況分析機関に経営状況分析の申請し経営状況分析結果通知書の受領する
(3)経営事項審査の予約をし、必要な場合には「事前確認」の審査をしてもらう
(4)経営事項審査の受審する
(5)総合評定値通知書の取得する
(6)入札参加資格審査を申請し、競争入札のよって公共工事の受注が可能になる

公共工事発注機関は、一般的に入札に参加しようとする建設業者の資格審査において、「客観的事項」「主観的事項」の審査結果を点数化することにより順位付け、格付けを決定します。このうち「客観的事項」の審査に用いられるのが経営事項審査で取得することのできる「総合評定値通知書」に記載された総合評定値(P点)です。

総合評定値(P)は、許可行政庁(東京都など)に経営規模等評価(X点、Z点、W点)の申請をした建設業者から請求があった場合のみ「総合評定値通知書」によって通知されます。前述のように、入札参加資格申請では総合評定値(P点)を用いるため、これより先の”経営事項審査の申請”とは「経営規模等評価結果通知書」と「総合評定値通知書」の発行を申請することを意味します。

経営事項審査では「経営規模(X点)」と「技術力(Z点)」、「その他の審査項目(社会性等)(W点)」、そして「経営状況(Y点)」について数値化し評価します。「経営規模(X点)」のみ、「完成工事高」=X1と「自己資本額および利益額」=X2にわかれます。

〈審査項目の内訳〉東京都都市整備局Webサイトより
審査項目の内訳審査機関
①経営規模(X)・完成工事高(X1)
・自己資本額(X2)
・利払前税引前償却前利益の額(X2)
東京都知事許可業者
東京都知事

(国土交通大臣許可業者
国土交通大臣)
②技術力(Z)・技術職員数
・元請完成工事高
③その他の審査項目(社会性等)(W)・建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状況
・建設業の営業継続の状況
・防災活動への貢献の状況
・法令遵守の状況
・建設業の経理の状況
・研究開発の状況
・建設機械の保有状況
・国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の状況
④経営状況(Y)※・純支払利息比率
・負債回転期間
・売上高経常利益率
・純資本売上総利益率
・自己資本対固定資産比率
・自己資本比率
・営業キャッシュフロー(絶対値)
・利益剰余金(絶対値)
登録経営状況分析機関


ただし、④の「経営状況の分析」については、国土交通大臣が登録した経営状況分析機関が行っています経営状況分析申請は経営事項審査申請とは違う手続きです。したがって、経営事項審査の前に申請経営状況分析申請をし、経営状況分析結果通知書(原本)を用意する必要があります。

建設業許可の申請先と同じ申請先に、経営規模等評価申請と総合評定値の請求をして手続きを進めると、およそ1ヶ月後に「経営規模等評価結果通知書及び総合評定値通知書」が発行されます。この通知書には、経営規模の認定、技術力の評価、社会性の確認及び経営状況の分析など、大きく分けて4つのカテゴリに分類される項目を数値で評価したものと、総合評定値(P点)が記載されています。この点数が入札参加資格審査で必要となり、客観的なランクの目安、または持ち点となるわけです。公共工事を受注したいとお考えの方は、この通知書を添付して入札参加資格審査申請を行うことで、公共工事の競争入札に参加できるようになります。

なお、主観的事項の評価は、地域の実情を踏まえ、当該地域における地域貢献などを、発注者が独自に審査する制度です。発注機関の所属する自治体への貢献度や実績、環境や社会に配慮した事業活動など、地域貢献への積極的な取組みを行う自治体内の事業者を入札参加資格の認定において評価されます。

提出する書類は、

・経営事項審査確認書
・経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
・工事種別完成工事高・工事種別元請完成工事高
・技術職員名簿
・経営状況分析結果通知書

などです。指定のフォーマットをWebサイトからダウンロードして作成する申請書類一式が12種類ほどあります。この他、技術職員名簿に記入した「合格証明書・免状・監理技術者証・講習修了証」等の写しや「建設業許可通知書又は許可証明書」などの裏付、確認資料を提出する必要があります。

書類を提出できる方のは、個人の場合は申請者本人、 法人の場合は当該法人の役員、従業員等です。その他に、政書士や弁護士が申請者欄に申請者と代理人の住所・氏名を併記し、委任状を添付して申請することができます。申請の代行ができるのは法律により行政書士又は弁護士に限られています。

以下で(1)~(5)それぞれについて記載していきます。(6)の入札参加資格審査申請については【入札参加資格審査申請 】の項目をご覧ください。

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