建設業許可の専任技術者についての確認資料にはどのようなものがあるか

建設業許可の専任技術者になるためには、「現在まで営業所に常勤し、専任であること」、「許可を受けようとする建設工事の業務について技術的な知識と経験を有すること」の2点を客観的に証明する必要があります。以下、それぞれについて見ていきます。

① 常勤性(及び専任性)を確認できる資料

常勤役員等の確認資料で、”申請日現在での常勤性を確認できる資料”と同様になります。当事務所のWebサイト、建設業許可の確認・提示資料(東京都)(4)のページで記載した内容と同じような内容の繰り返しにはなりますが、前の記載をその都度参照するのは煩雑なため、一応省略せず記載します。

「常勤」とは、原則として、本社、本店等において、休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事していることをいいます。専任技術者は、その営業所ごとに「常勤し、専任であること」が求められるため、その常勤性を確認するための書類を証明すべき期間分、提出する事が必要になります。

具体的には以下のような書類です。

【個人の場合】
1.健康保険被保険者証(以下健康保険証)の写し(氏名、生年月日がわかる有効期限以内のもの)
2.直近決算の個人の確定申告書の写し(第一表、第二表(原本提示又は受信通知(メール詳細)の添付))

【法人の場合】
1.健康保険証の写し(氏名、生年月日、事業所名の分かる有効期限以内のもの)
2.健康保険証に事業所名が印字されていない場合は、申請者の所属を証明するために
  健康保険証の写しの他に、(a)(b)のどちらかの資料
 a) 健康保険・厚生年金被保険者に関する標準報酬決定通知書
  会社を立ち上げて間もない場合、もしくは専任技術者が入社してすぐの場合には
 b) 資格取得確認及び標準報酬決定通知書


原則、社会保険が適用されていれば常勤であるというのが通常の見方です。

個人の事業者の場合、健康保険証を提出することで、他の事業者の社会保険へ加入していないため他の事業者の下で常勤になっていないことが確認でき、個人の確定申告書を提出することで自身の事業により収入を得ていないことが確認できます。この2つの資料の提出により現在の時点での常勤性が証明できます。

法人の事業者の場合、健康保険への加入は義務付けられているため、法人名や事業所名が記載されている専任技術者の方の健康保険証のコピーを提示することで、当該法人に所属し、勤務していることの実態が証明できます。

健康保険証に事業所名が印字されていない場合、健康保険証の他に健康保険・厚生年金保険の被保険者標準報酬決定通知書を合わせて提出します。

健康保険・厚生年金保険の保険料の納付額は実際の報酬額を区切りのよい幅で区分した「標準報酬月額」をもとに算出されています。毎年7月に行う、この「標準報酬月額」の見直し手続きを「定時決定」といいます。この「定時決定」を帳票にし、期日内に所管の年金事務所や健康保険組合への提出します。被保険者標準報酬決定通知書は、この時に年金事務所や健康保険組合から返却される書類のことです。

参考:全国健康保険協会Webサイト

なお、令和2年10月1日より、本人確認等を目的として医療保険の保険者番号及び被保険者等記号・番号の告知を求めることが禁止されたため、保険者番号及び被保険者等記号・番号をマスキングして提出します。

会社を立ち上げて間もない場合、もしくは専任技術者の方が入社してすぐの場合には上記の健康保険・厚生年金保険の被保険者標準報酬決定通知書に当該技術者の氏名は記載されていないので、代わりに「資格取得確認及び標準報酬決定通知書」を添付します。資格取得確認及び標準報酬決定通知書は、従業員を採用した際、健康保険・厚生年金被保険者資格取得届を提出した際に返却される書類です。

ちなみに、下記のような方には常勤性が認められません。

【常勤性が認められない方の例】
①職場から家までの距離が遠すぎ、事実上毎日の通勤が現実的ではない方
②他の営業所や会社で常勤役員や専任技術者のような常勤性が必要な立場で仕事をしている方
③兼業で建築士や宅地建物取引士をしている方
④他に個人事業を営んでいる方

ただし、同一法人かつ同一の営業所で、上記の技術者や資格者を兼ねている場合には例外的に常勤性が認められます。以前は①に当てはまらないことを確認するために住民票の提出が必要でしたが、現在では不要になりました。

② 建設工事の業務について技術的な知識と経験を有することについて確認ができる資料

許可申請する業種に対応した国家資格などを取得していることで証明する場合


許可申請する業種に対応した国家資格合格証・免許証等の写し(原本提示)で証明します。監理技術者である場合は、監理技術者資格者証の写しで合格証の代わりになります。

専任技術者の要件を満たすために実務経験を用いている場合

許可申請する業種に対応した実務経験で証明する場合です。建設業許可の要件の箇所にも記載したように、ここで言う実務経験とは、原則として許可を受けようとする建設工事業種)に関する技術上の様々な職務経験をいいます。

具体的には、建設工事の施工を指揮、監督した経験および実際に建設工事の施工に携わった経験などがあげられます。現場監督技術者として監督に従事した経験も含みます。ただし、工事現場の単なる雑務や事務の仕事に関する経験は含まれません。附帯工事(請負契約の中で、主目的となる業種の工事に含まれる、別業種の工事)の経験も同様に実務経験の証明に使うことはできません。

このような経験があることの証拠として様々な書類を用意します。大きく分けて、許可を受けようとする建設工事(業種)の実務経験を① 建設業許可を有している会社で積んだ場合と、② 建設業許可を有していない会社で積んだ場合とに分けられます.

①.証明期間において、許可を受けようとする建設工事(業種)の実務経験を積んだ会社が建設業許可を有していた場合

・建設業許可通知書又は受付印が押印された建設業許可申請書
・決算変更届


②.証明期間において、許可を受けようとする建設工事(業種)の実務経験を積んだ会社が建設業許可を有していなかった場合

・業種内容が明確に分かるような期間通年分の工事請負契約書、注文書、請書
・契約書などがない場合、建設工事の請求書と通帳などの通帳などの入金が確認できる資料

請求書、押印のない工事請書、FAXで送付された等のため原本を提示できない注文書等については、通帳などの入金が確認できる資料が必要になります。

実務経験業種の緩和措置について

ここまでは、実務経験を許可を受けようとする建設工事(業種)で積んだ場合です。このように許可を受けようとする建設工事(業種)において職務経験を積むことが原則になります。

しかし、一部の業種には建設業許可を受けようとする業種と技術的な共通点のある他の業種での実務経験を、一定の範囲内で許可を受けようとする業種の実務経験と置き換えられる例外的な緩和措置があります。

この緩和措置は、専任技術者になろうとする業種について8年以上の実務経験と、対象となる一部の業種で4年以上の実務経験があれば専任技術者になることができるというものです。この実務経験の期間について、期間を重複することはできません。また、以下に挙げる組合せでのみ、振替えが可能になっています。この業種間の振替えによる実務経験期間の短縮は指定学科による期間の緩和との併用はできません。

【振替え可能な組み合わせ】
土木一式から ⇒ とび・土工、しゅんせつ、水道施設に
建築一式 から⇒ 大工、屋根、内装、ガラス、防水、熱絶縁に
大工 ⇔ 内装 ※大工と内装は相互に振替えが可能に
とび・土工(H28.5.31以前の経験のみ)から⇒解体に

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