建設業許可で求められる発行後3カ月以内の「身分証明書」とは

警視庁HPより

「身分証明書」といわれると、運転免許証やマイナンバ-カ-ドなどが頭に浮かびます。しかし、建設業許可の申請で使う身分証明書はこれとは全くの別物です。地域により身分証明書、身元証明書と呼び名が違う場合がありますが、記載されている内容は同じもので、本籍地の市区町村役場で取得することができます。

この「身分証明書」を取得できる役所は現在の住所地ではなく本籍地を管轄する役所のみです。本籍地とは戸籍簿を管理している市区町村のことです。 本籍地は必ずしも住民票のある住民登録地と同一とは限りません。本籍地が不明な場合、本籍地を記載させた住民票を取得することで自分の本籍地を確認することができます。

身分証明書には

①禁治産又は準禁治産の宣告を受けたままになっていないこと
②成年被後見人や被保佐人に該当しないこと
③破産宣告または破産手続開始決定の通知を受けていないこと

が記載されています。以下でもう少し詳しく見ていきます。

① 禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていないこと

2000年4月1日以前、現在の成年後見制度のもとになった「禁治産又は準禁治産制度」という制度がありました。禁治産と準禁治産とは、この制度で設けられていた被補助者の名称で、それぞれ今でいう成年被後見人と被保佐人のことです。成年後見制度開始以前に成年被後見人や被保佐人に該当する人物でなかったことの証明は、この「禁治産又は準禁治産の宣告の通知をうけていないこと」により証明します。詳細は建設業許可の確認・提示資料(東京都)(2)「登記されていないことの証明書」に記載しています。

② 成年被後見人や被保佐人に該当しないこと

資料(2)でも書いたように、成年後見が開始すると後見に関する内容が東京法務局に登記され、法定後見の場合には登記されたことが成年被後見人の本籍地に通知されます。この文章はこの通知を受けていないという意味で、これにより身分証の申請者が成年後見人や被保佐人ではないことの証明になります。

③ 破産宣言又は破産手続き開始決定の通知をうけていないこと

裁判所で破産手続開始決定がされると、裁判所からその旨を本籍地の市区町村に通知します。この文章はその通知を受けていないという意味で、これにより身分証の申請者が破産者ではないことの証明になります。細かい話ですが、破産開始決定を受けた方が身分証明書の取得請求をした場合、免責許可が確定し、復権するまでは「破産の宣告又は破産手続開始の決定の通知を受けていない」旨の記載が削除されたものが発行されます。

資料(3)と資料(2)は似ていますが、発行する役所がそれぞれ法務局と市区町村とで異なり、また、成年後見制度ができる前の証明や欠格事由に当たる破産者ではない事の証明など記載事項も異なるため、両方の資料の提出が求められます。ちなみに外国籍の方は本籍がないため身分証明書の発行はできません。

法人の場合は申請する会社の監査役を除く役員全員分の証明書を、個人事業主の場合は事業主自身の身分証明書を申請書に添付します。

なお、2024年の3月より戸籍の広域交付がはじまり、本籍地でなくとも戸籍謄本が取得できるようになりましたが、この「身分証明書」は対象外です。

戸籍の広域交付とは?

令和6年3月1日に戸籍法の一部を改正する法律(令和元年法律第17号)が施行され、本籍地が遠くにある方でも、お住まいや勤務先に最寄りの市区町村の窓口でこれまで本籍地でしか請求できなかった戸籍証明書や除籍証明書を請求できるようになりました。

ただし、コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍には対応していません。一部事項証明書、個人事項証明書(抄本)も同様です。また、戸籍の附票、戸籍諸証明(独身証明書、身分証明書等)も広域交付の対象外です。

広域交付で戸籍証明書等を請求できる方は本人、配偶者父母、祖父母などの直系尊属の方、子、孫などの直系卑属の方です。このような方が市区町村の窓口に直接お越しになり請求する必要があります。郵送や代理人による請求はできません。その際、窓口にお越しになった方の本人確認のため、マイナンバーカードや運転免許証などの顔写真付き公的証明書の提示が必要です。

初回のご相談は原則無料です。お気軽にお問い合わせください。

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